何かこの頃いろいろありすぎて何も感じなくなってきました。ここは中国だし、もう君たち中国人の好きなようにしたらいいじゃん、その代わり日本に来ようなんてバカな考えを早く捨ててくれ、などと無理と承知で願う毎日…。

どなたもこなたも
　４月から入ってきた留学希望者コースの学生がどうもレベルが低いんです。もう私も疲れてきたので婉曲的な表現抜きでズバリ言いますけど、バカで下品。飲酒は禁止されてるのに酔っ払ってケンカ、しかも寮のドアを蹴破ったりするんです。酒ぐらい別に飲んでもいいけど、吠えたり暴れたりするなよ。けだものか。窓からションベンふりまいたりするし。

　そんなときケイ先生（我が校唯一の教育界出身者。学生管理・総務担当）はどんな活躍をするのか。学生規則に男女の恋愛禁止とかガラスを割ったら１５元弁償とか罰則までこまごまと決めてる（刑法か）ケイ先生です。毎週月曜日の放課後は学生総会と称して１時間近くも説教たれてるケイ先生です。深夜に酔っ払って暴行・器物損壊をはたらくクソガキをどう処分するのか。

　ここまで言えばお分かりの通り、ケイ先生は起きてしまった事件に対してはあまりにも無力なのでした。まず事情聴取が甘い。学生代表を使って聴取するのですが、そんなもん、当然仲間に甘いいい加減な調査報告しか上がってこないに決まっています。なのにそれを鵜呑み。ケンカの当事者をよびつけて握手させておしまい。アホか。ケンカの仲裁なんかどうでもいいだろ、学校の秩序を乱した罪を問えよ。責任をとらせろよ。だいたい奴らは規則違反の常習犯で、とてものこと安心して日本へ送り出せるような連中ではないのです。「友達は監獄に入ってる」とか言ってる刺青入りの奴までいるし。

　そんな奴を入学させたということ自体、そのへんタッチしていなかった私としては大脱力なのですが、仕返しが怖いのか事なかれ主義なのか、奴が事件を起こしても対応が遅い上に処分が甘いんです。だめじゃん。だからなめられるんじゃん。ケイ先生が呼び出して注意を与えても「本当は俺を退学させたいから、こんな小さな事でいちいち騒ぎ立てるんだろう」とか言われたそうですからね。つーか、そんなこと言われてる時点であなたはアウトだよ。威厳ゼロ。そしてそれをブ～さんに平気で話してるあたり、まるでそのへんわかってないわけで、私は深く深くがっくりしてしまうのです。

　研修生の日本語能力を短期間で最大限に高める、という私の本来の業務の方面では、相変わらず子供先生たちが危なっかしい授業＆生活指導をしているのですが、Ｍ先生はとりあえずおとなしく授業をしてくれていました。

　が、とうとうやってきました。クラスのうちの何人かが授業について来れていない、このままでは彼らのためにならないのはもちろん、ついて来れている大多数の学生にもよくない、だからクラスを分けてはどうか、と言うのです。そうらおいでなすったぞ、と、鹿児島での経験を思い出す私。そう、Ｍ先生は「できない学生ほどかわいい」と口癖のように言っているわりには、一度自分の手に負えないと判断するととたんにその学生を切り捨てにかかるのです。
　分けてもいいけど、できの悪い方のクラスはあんたが責任とってやんなさいよ。私にもう少し余裕があったら、そう言ってひと悶着起こすのも一興なのですが、彼の回りくどい話を聞くのも面倒なので、はいはいと言うことを聞いてやりました。クラス分けに先立って試験をしましょう、と私が言えば、じゃその問題は、と私に投げ返してくるので、教科書付属の問題集をそのまま使ってください、と言うと、いつコピーをしましょうか、とコピーまで人にやらせようとするし、しまいには監督・採点まで振ってこようとする始末。コピーは私がやった方が早いから私がしましたが、あとはあんたの仕事だろ、もともとあんたのわがままでクラス分けするんだし、とキレそうでした。

　そしてテスト終了。採点も終了。できの悪い学生へのクラス替え通告はなんと私が一人ですることに。そんな大事なことを話す席に担任の先生がいなくてどうするんでしょう。やっぱり「できの悪い学生ほどかわいい」は嘘だったのか、偽善者め、と思ってしまいます。きっと最初からその学生たちとは心を通わせることができてなかったんでしょうね。言ってる日本語はわかりにくいし、できない学生を笑いものにするし。結局はできる学生ばかりをひいきするような授業ですから。

　そうそう、同僚Ｔさん（２７歳大阪人女性）は素人ながらがんばっています。（私よりは）若い女性だから評価が甘くなっているという側面もあるのですが、休み時間に教務室に戻ってきたときの様子が変にハイだったり逆にブルーだったりして、おお、そこまで気持ちを入れて授業をしてるのか、と私は目頭が熱くなるのでした。実際には、さまざまな日本のお菓子（ＥＭＳで直送）を引き出しから取り出してむしゃむしゃ食べながら大阪弁でものすごい悪態ついてる、というのが一番多いパターンなんですが。おとなしくてまじめな私は怖くてフォローの言葉もかけられません。教室でもたびたび大阪弁でキレているらしく、「Ｔ先生を怒らせるな」というのがクラスの合言葉になっている模様です。

　ここでこんなこと書いてて、彼女に読まれたら私の身も危ないのですが、事実を曲げるわけにはいかないのでしかたありません。