もしかしたらこのタイトル、いきなり中国語が間違っているかも知れない。でも、まあ、いいや。きっと通じるし、何と言っても中国のことだから。

　中国人研修生の来日前日本語教育をもっと強化しよう、という話はわりと前から出ていた。秋山、おまえ中国まで教えに行く気はないか、という話は４月のはじめに出た。それからしばらくの間は、いつからいつまでだとか、これこれの任務だからこういう準備をしろとか、そういう話がなかったので、私も通常通りの仕事をへらへらと続けていたのだった。

　それが急転直下、何やってんだ、すぐに来い、という話になって(^^;、４月２６日に行くというのが決まったのがその１週間前だった。

　成田から北京まではイラン航空を利用した。初めて乗るキャリアである。乗客の半分はイラン人（とおぼしき中東系の顔の人）で、残りは中国人（とおぼしき東アジア系の顔の人）。正確には機内サービスでお茶をもらってるのが中国人で、わずかながらコーヒーを頼んでるのが日本人だろう。

　北京に着いてすぐ山東青島行きへ乗り換え。青島に着いたのは夜９時頃だったが、飛行機を降りてバスに乗ってターミナルビルに着くと、もうすぐそこに現地事務所の職員が迎えに来てくれていた。うちは青島空港にかなりの影響力を持っているとは聞いていたが、空港内の自由通行証を持っているのであった。

　その日は青島のホテルに泊まり、翌日社用車で煙台へ移動。日本だったらおじいさんがほとんどのはずの高速道路の料金所に、いい若いモンが２人ずついるところが１３億人の国、って感じ。あくびしてたり男女でいちゃついていたりする。くそっ。くそっ、て何でだ。昼前に到着する。煙台と威海の各研修生派遣機関の責任者と担当者に引き合わされて、さっそく昼食。沿海都市らしく、テーブルの上には海産物がどっさり。ナマコ、何だかとにかく貝、蒸しスズキ、むきえび、蒸しシャコ、何だかわからない生き物のどこだかわからない部分…。この地方の特色は海鮮が多いということだったのだ。

　そして知る人ぞ知る偏食大王の私は、何が嫌いって海鮮ほど嫌いなものはないのであった。何だかわからない生き物のどこだかわからない部分を指さして「これは何というものですか？」なんて好奇心いっぱいの様子を装って時間を稼いでごまかそうとしても、「海腸（ハイチャン）だよ」の一言で終わってしまうし。しかたないから覚悟を決めてその海腸を食った。こてっちゃんみたいな歯ごたえでニラと炒めてあってまあまあ食える。よし、とりあえず海腸で場をつなごう。

　なんてわけにはいかないのであった。何と言っても私は日本から来た客人なのだから。さあ食え、ほら食え、もっと食え、とばかりに次から次へと小皿に積み上げられていく。ナマコは生まれて初めてだったがクセもなく食べやすかった。参ったのは貝。好きな人にはいい香りかも知れないけど、くさいっちゅーの。それとシャコ。グロい。スターシップ・トゥルーパーズみたい、と言っても誰もわからないだろうが、こんなもん食っちゃったら腹の中で蘇生して逆に俺が食われてしまうのではないかみたいな恐怖をかき立てる外見。おまけに堅くてトゲトゲの殻を剥かなくちゃいけない。そうまでして食べる価値があるものなどこの世に存在しない、というのが私の考えである。自慢じゃないけどミカンだって剥くのが面倒でほとんど食わないんだぞ。

　そんなことを内心で思うばかりの私は、海腸をつまんではシャコをわざともたもた剥く作戦でこの席を乗り切ろうとしたのだが、派遣機関の副社長がみずからシャコを剥いてくださったりしちゃうもんだから、「助けてぇー、勘弁してぇー」と思いつつじゅびじゅびと食いまくるしかないのであった（涙）。

　午後はうちと各派遣機関とで会議（中国で言うところの「カイホェイ」です）。やっと今回の出張の任務がわかってくる。どうやら研修生に対して直接授業をするだけでいいらしい。おまえも何か言えと言われたけど、つまらない一般論しか話せなかった。それでも周囲は「おお、なるほど」みたいな反応。さすが中国。客人は持ち上げてくれる。

　しかし、いつの間にか早速翌日から授業、みたいな話になってる。おいおい、人数も教室も進度もわからないのに。

　なのに、いやー、じゃ、ま、ひとつ、よろしく、みたいな感じでホテルの部屋に戻って、ちょっと休んでまた食事。今度はウニまで出た(T-T)。潮の香りが強くてゲロ吐きそう。昨日からの移動の疲れがとれない。認めたかないけど、久しぶりの中国で緊張してるのもあるんだろう。

　そこへタイミング良く「洗脚城」（足つぼマッサージ）へ行こう、という話が。自分で金払うわけじゃないから、何でも体験してみるべ、と行ってみる。

　結論から言って、もう二度とごめんである。ちっとも気持ちよくない。ただ、足つぼマッサージの名誉のために言っておくが、普通はみんな大喜びするそうである。しかし、私にとっては他人に足をいじくり回されるということは、痛いかくすぐったいかのどちらかでしかなく、気持ちいいと感じた瞬間はほとんどなかったのであった。

　煙台１日目からもうグロッキーに近い。

（続く）