でもぐっすり寝てから起きたからもうすでに日は高く、当然クソ暑い。でも意地でも朝の散歩を続ける。千鳥南公園の木陰のベンチでおにぎりを食う。が、ここは日比谷公園なんかとは違ってそういうことをするところではないようだ。いまいち居心地が悪い。でも食う。そして小泉八雲の文学碑なんか写真に撮ってみる。

　そしてそのまま西へと歩いて松江温泉駅を過ぎ、お湯かけ地蔵へ。松江温泉のシンボルであるらしいという予備知識が邪魔をして一度通り過ぎてしまった。予想より小さかった上に、ちょうど今日がお祭り日で、商店街の福引きコーナーみたいになってたから。

地元のおばあちゃんが一人お参りしているだけ。いいねえ。マイナーっぽくて。よーし、マイナーついでに天倫寺へ行くぞ。松江温泉駅から徒歩２０分、レイクラインの停留所もない、というマイナースポットだ。途中に保育園とか駐車場とかある。なんかおじいさんが何にもないところで無意味につっ立ってると思ったら、ちょっと離れた日なたにバス停があった。ふむ。そりゃそうだよなあ。若さ溢れる俺でさえ足取りがよろよろするほど暑いもの。なんて考えてるうちに、あれ、１０分ちょっと歩いただけなのに着いちゃったよ。

うーん、いいなあ。拝観料取られないもんなあ。いかにもマイナースポットって感じよ。ちょっと小高くなってるので、昔はけっこういい眺めだったと思われる。今は近所の家の２階が見える。宍道湖も見えるけど、写真撮りたくなるほどきれいには見えない。

　なんか一番行きにくそうだった天倫寺がこれなら、自転車あれば街中回れるんじゃないか？　ホテルで自転車借りるか。その前に大雄寺（だいおうじ、と読む）。八雲の「飴を買う女」に出てくる幽霊の墓があるというが、うーん。ここはさすがにハズしたな。寺は寺だけど、ほとんど民家の庭のノリだもの。

そのすぐ近くに護国神社がある。観光ポイントではないけれども、英霊の前を素通りはできないのでお参りする。それからまたずーっと自転車を走らせて普門院。なんにもない。でも投句箱はある。実はこれは松江のあらゆる観光ポイントに用意されているのであった。よほど「文学的な街」ということで売りたいらしい。せっかくだから一句。「ゆく夏や地に止まりをり法師蝉」。でも箱には入れない。

　夕日鑑賞ポイントを探す。県立美術館へ行ってみる。建物ばっかりで展示が大したことなさそうだったのでパス。本屋でTokyo Walkerの山陰版みたいな雑誌を見る。へええ、ちゃんと映画館もあるんじゃん。サティの中に。お、『ホワイトアウト』やってんのか。観たいな。もしかしたら並ばないで観られるかも知れないし。行ってみよう。

　で、サティに行った。そしたら、松江の若者はここにいたのであった。どこで染めてるのかちゃんと茶髪なのがおかしい（失礼だけど）。３階が映画館になってて、５館ぐらい集まっている。で、人は全然いない。『ホワイトアウト』はちょうどあと５分で始まるところ。でも人は全然いない。完全入れ替え制なのに。うれしいような、だまされてるような気持ち。

　で、観た。おもしろかった。そろそろ夕暮れだ。白潟公園へ直行。またも恋人たちの出番である。知るか。俺は１５年前の感動を再現したいんだ。